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心のこもった介護とは

高齢者の身体は、気持ちのこもった触れ合いに敏感です。若いうちは目や耳などの感覚が元気なため触れる感覚を忘れがちでが、年齢を重ねて耳も目もきかなくなってくると触れ合う感覚の大事さが身に沁みてくるのです。

介護の仕事で言葉を超えた心の奥底に通じるコミュニケーションとして、身体の触れ合いは最上の方法です。触れる方法は状況によって千差万別ですから、どれが一番というものはありません。手の握り方ひとつにしてもいろいろです。そっと片手に両手を添える、リューマチで変形した指をそっとさするなど、あげていけばキリがありません。高齢者の位置関係によっても手の握り方の意味は変化しますし、言葉づかいを変化させれば、さらに組み合わせが広がります。

若い人ほど触れ合いによるコミュニケーションが苦手ですし、年配になると今度は触れ合い方がぞんざいになってきます。いろいろな意味で人間同士の距離が遠くなり、触れ合いの機会が減少しています。しかし人間はオギャーと生まれたときから、母親に抱かれるスキンシップで自分の存在を確認します。赤ちゃんは、触れ合うことで成長していくのです。同じ事が自分の存在が希薄となった高齢者にもいえます。人間は人生の初めに必要としたスキンシップを、その終わりにも求めているのです。介護の原点は、このスキンシップにあります。介護を必要とする高齢者が最も心待ちにしているものは、側にいてくれる人の優しい手なのです。